とん、とん、と廊下に響くのはノックではなく水滴の落ちる音。
月が障子越しに映す影は、姉さんが好きだった紫陽花や手鞠菊のように膨らんでいる。
流し雛と一緒に流された姉さんは、毎年お盆ではなく、流された日に帰ってくる。
「姉さん、今年もおかえりなさい」
僕は静かに手を合わせた。
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