彼女は海が好きだった。
昔の海の澄んだ水は陽差しを柔らかな屈折率で編み上げて、白砂の上へゆらゆらと落とした。
その海が無くなったのはもう何年前になるだろうか。一時賑わった埋立地も今は廃墟が並ぶ。彼女は私の車椅子を押しながら、昔ここに落ちていた光の話をする。
彼女は海が好きだ。
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