祖母の髪は、白髪の一本もなく艶々としていた。
ただ、酷く生臭かった。
秘密よ、と愛用のつげの櫛を見せてくれたことがある。
「人魚の脂を染み込ませとるんよ」
そう悪戯っぽく笑っていた。
祖母は亡くなり、荼毘に付された。
髪だけが燃えずに残り、いまだ箪笥の中で伸び続けている。
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