#呟怖 気付くと身が異様に軽かった。地を蹴れば宙を飛べるに違いない。振り返れば腹に刃を突き立て、事切れた己の姿。古寺の境内。池の畔。参詣の後、ひと息に自刃した。水無月の宵。天上の満月。死ぬには良い頃合いだった。雲間から射し込む光は彼岸への橋渡し。あの月が呼んでいるのだ、と思った。
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