#呟怖 人を斬り江戸に逃れて二年が経つ。酔って入った遊廓で遊女を腕枕に寝物語。
何か忘れてないかえ、と問う女の声に微かな故郷の訛りがある。
何を、と訊く間もなく枕元の行燈がふっと消え、月明かりが照らす細面に見覚えがあった。
恨めしい……
己が斬ったはずの女の名を呼ぶ声が闇に溶けた。
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